オバマ大統領は10日、14会計年度(13年10月から14年9月)の予算教書を議会に提出しました。

中期の財政運営方針に関しましては、指標となる「財政赤字のGDP比」を13年度の6%から10年後の23年度に1.7%まで引き下げるシナリオを示しています。

財政再建策につきましては、議会におきまして与党民主党と野党共和党の大きな争点となっており市場の関心も高いところですが、今回、オバマ大統領が示した政府の案では、10年間の追加赤字削減を1.8兆ドルとし、これまでに決定している2.5兆ドルと合わせて10年間で4.3兆ドル規模の赤字削減となります。富裕層の増税と社会保障費の抑制で追加の1.8兆ドルを捻出する方針ですが、増税で1兆ドルを捻出する上院民主党案、オバマケアの廃止等の歳出削減で追加の総額4.6兆円を捻出し23年度には財政の黒字化を実現する下院共和党案を考慮しつつ、財政再建策の妥協を目指す立場を強調しています。

今後は、米国の債務上限(国債発行枠)の引き上げも焦点となります。

現在は、2月に決定した3か月の暫定措置により国債の発行をしていますが、5月にはその期限が到来します。大幅な債務上限引き上げを求める政府、民主党に対し、下院共和党(多数派)が上限引き上げではなく歳出削減を求める構図は変わっていませんが、今後、両者は妥協することができるか。

増税や社会保障費の扱いについては基本的な考えが違うだけに、今後の与野党協議も難航が必至です。市場が、債務上限引き上げ問題を注視せざるを得ない構図は基本的には変わっていません。

 

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