黒田日銀は26日、消費者物価の上昇率が「2015年度の早いうちか前半に2%程度に達する」との見通しを示しました。

4月の「展望リポート」によりますと、今回初めて公表した15年度の物価上昇率(生鮮食品と消費増税の影響を除く。)は1.9%(各政策委員の予測は0.8%〜2.3%とばらつき)としました。13年度、14年度、15年度の実質GDP成長率を、2.9%、1.4%、1.6%と潜在成長率を上回る、市場予測に比べるとかなり強気の経済見通しに基づき、日本経済のデフレの主因である需要不足からの脱却とインフレ期待の高まりにより、これも市場予測を上回る2%程度という物価上昇率を2年で達成するとしました。

月初に決定した「異次元緩和」の政策効果を織り込み、黒田日銀の積極的な金融緩和を背景に大量のマネー供給が個人の所得や企業の期待を押し上げ、個人消費や設備投資を促す好循環シナリオによる日本経済の回復で、目標とする2%の物価目標を2年程度で達成する道筋を示した形ですが、その実現に向けては、大量のマネーが真に日本経済の血となり肉となって実体経済がしっかりと回復することが必要になります。

今のところ、こうした好循環シナリオについての市場の見方は懐疑的で、日銀の強気シナリオについては冷めた見方が多いように思います。新興国や欧州等、海外経済についての不透明要因も高まっています。昨日発表された3月の日本の消費者物価上昇率は前年比▲0.5%というのが足元の状況です。

安倍政権は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略とい「3本の矢」で日本経済の再生を図るとしていますが、規制改革・民営化、対外開放によって日本経済の自由化を阻む構造問題を解決していかないと15年続いたデフレからの脱却は容易ではありませんし、現在の株高等も一時的なバブルで終焉してしまいかねません。

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