安倍首相は19日、6月にまとめる成長戦略の第1弾を発表しました。

「挑戦:チャレンジ」、「海外展開:オープン」、そして、「創造:イノベーション」を成長戦略の3つのキーワードとし、今後策定する成長戦略では、健康長寿、エネルギー、インフラ、地域活性化といった分野で、それぞれ「あるべき社会像」を提示し、その実現に向けてどういう政策が必要かを検討していくとしました。

今回の発表では、医療に関して、「健康長寿社会」の構築に向けて、日本が世界一の研究水準である再生医療・創薬の分野で、強みをさらに生かすためのips細胞研究支援や再生医療の実用化・産業化を進めるための規制・制度の見直し、難病治療の新薬開発を国家プロジェクトとして支援するための「日本版NIH(米国立衛生研究所)」とも呼ぶべき体制をつくり上げるとしました。

「人材」資源の活性化の観点から、成長戦略の中核は女性の活躍とし、深刻な社会問題となっている待機児童の解消、女性が妊娠・出産後も働き続けることができるような職場復帰・再就職支援を進めるほか、「世界に勝てる若者」を育てるとしました。また、雇用を増やしている成長産業に、成熟産業からスムーズに「人材」をシフトしていく、「失業なき労働移動」は成長戦略の一つとしました。

大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という安倍政権の「3本の矢」のうち、私が最も重視する成長戦略について第一陣の政策発表があった訳ですが、今回示された政策はこれまでもその実現が求められてきた長年の課題です。チャレンジ、オープン、イノベーションをキーワードに、「あるべき社会像」を示したうえで打つべき政策を提示するという基本的な方針には異論がありませんが、要は、これまでとは違う「実効性ある政策」を今後打ち出せるかどうかが大きな課題です。首相が言うように実行あるのみです。

今回の発表においては「痛み」を伴う規制改革についての踏み込みは不充分のように思われます。既存の制度・規制に守られてい「既得権益」にメスを入れ、民間の新規参入等により創意工夫によるイノベーションが本当に生まれるような環境整備ができるか。自民党政権としての安倍政権の真価が問われるのはこれからです。

このエントリーをはてなブックマークに追加
Clip to Evernote