原子力規制委員会は19日、東京電力福島第1原子力発電所事故を受けて見直していた原発の新規制基準を決定しました。
安全対策については、世界各国より遅れていた過酷事故(シビアアクシデント)対策を充実し、東日本大震災クラスの地震や津波にも備えるよう求めるなど、安全対策の大幅な強化を求めています。電力会社の自主的な対策に委ねていた旧規制を転換し、原子炉の注水手段や電源を多重化したうえで、事故対策を継続できるよう、フィルター付き廃棄設備や緊急時制御室の設置を義務付けています。規制委の田中俊一委員長は「国際的にみてもきちんとした水準の基準ができた」としています。
新基準は閣議決定を経て7月8日に施行されますが、これにより、原発の再稼働に必要な安全審査を行う体制が整います。

今後は、東京電力柏崎刈刃原発(新潟県)、関西電力大飯原発(福井県)などが審査申請するものとみられますが、規制委に対し新基準に基づく安全対策についての適切な審査が求められるのは当然として、運転期間の「原則40年制限」や、常に最新の安全技術を取り込む「バックフィット制度」も導入されることから、電力会社に対しては、個々の原発ごとに、安全対策費用や運転期間を考慮し、消費者に転嫁されるコストを適切に開示するとともに、廃炉も含めた検討を求めたいと思います。

このエントリーをはてなブックマークに追加
Clip to Evernote